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SaaSを日本企業に根付かせる方策は…
勉強会「SaaSway」に参加しました

プレスリリース
2019/07/24

企業の業務効率化と生産性向上に必要不可欠なSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス=クラウドサービス)のさらなる普及を目指す勉強会「SaaSway」が2019年7月24日、東京・港区の虎ノ門ヒルズフォーラムで開かれました。

最新のマーケティング手法であるABM(アカウント・ベースド・マーケティング)を支援するクラウドを手がけるFORCASが主催。オンラインストレージ大手の米Boxの共同創業者でCEOのアーロン・レヴィ氏による基調講演をはじめ、日本の有力SaaS企業の経営者やVC(ベンチャーキャピタル)関係者ら計30人が8つのセッションに分かれ、様々なテーマで討論を行いました。

弊社フルカイテンも、小売り・卸売り・製造小売り事業者さまの在庫適正化と経常利益増加を支援するクラウドサービスを提供しており、SaaS業界の一員です。そこで、弊社従業員もSaaSwayに参加し、講演やセッションに耳を傾けてきました。


日本はSaaS後進国/顧客中心でシンプルさ追求を

SaaSは米国や中国では年を追うごとに伸びていますが、日本ではリーマン・ショックがあった2008年前後がピークで、その後は右肩下がりです。日本は労働人口の減少で世界の先を行きますが、SaaSの普及においては後進国といえます。

全世界で9万社が利用しているBox。レヴィ氏は基調講演で、もともとBtoCサービスをしていた経験から、「BtoCのDNAがあった。簡単さ、使いやすさ」が重要だと説きました。米国でこれほどSaaSが広がった背景については「いろいろなSaaSサービスが存在していて、企業がリーチすることが容易だった」と振り返りました。

そのうえで、日本でのSaaSのさらなる普及には大企業で導入され、社内での融合が起きることが必要と指摘。Boxが日本の大企業で採用された際には「ユーザーの使いやすさを一番に考えたほか、セキュリティーを高めた」と述べました。

また、SaaSは顧客企業ごとのカスタマイズをできるだけ避けることが重要ですが、レヴィ氏は自身の経験として「カスタマイズすると複雑になると説得した。SaaSにはシンプルさが求められているし、そうあるべきだ」と主張。日本のSaaS事業者も顧客を戦略の中心に起きつつも、シンプルさと機能性を顧客と共有すべきだ、と語りました。


斬新な「LTV思考」/顧客満足の前に「従業員満足」を

各セッションでは様々なテーマで討論が行われました。

このほど約61億円の資金を国内外から調達した労務管理クラウドSmartHRの役員は、LTV(ライフタイムバリュー)の重視を訴えました。LTVをARPU(1社あたり月間収益)/Churn Rate(月次解約率)と定義。当社の強みは「継続率の高さ」とし、成長期には月単位で解約を受け付けて顧客から解約の原因をヒアリングし、自社プロダクトの改善にフィードバックしていったことを紹介しました。また、今回調達した資金は人材投資とマーケティングに半分ずつ投じる方針だということです。

エンプロイーエクスペリエンス(従業員の経験価値)に重きを置いた組織運営をテーマにしたセッションでは、「SaaS企業の従業員は、社内で体験した良いことしか顧客に話すことができない」との観点から、失敗も成功も全て共有して組織づくりを実行するべきだとの意見が出ました。

また、弊社が非常に力を入れている「カスタマーサクセス(顧客を成功に導く取り組み)」については、非常に高度なコミュニケーションスキルが求められるとの指摘があり、クラウド人材管理のカオナビの首脳は「顧客側にも答えがあるし、SaaS事業者側にも答えがある。SaaS事業者が言うとおりに使ってもらった結果、顧客に成果を実感してもらうという自信をもつことが前提として重要だ」と説きました。